[二〇十六年三月二十一日]
DLPプロジェクタ・ジャンクを調べた
ドット欠陥の物凄さに好奇心を掻き立てられて、
ACER X1110 DLP Projector (QSV0001)のジャンク・プロジェクタを買ってみた。(図2<クリック> ¥600税込み)
「DLP(デジタル・ライト・プロセッシング)」というと「DMD(デジタル・ミラー・デバイス)」を指すそうで、シリコン半導体チップの上にマイクロ・ミラー群を形成し、それを電場で振動させて反射光を投影する方式だ。
そのミラー群が壊れていれば、こんな輝点群が出たままになるようだ。
それを確かめてみようと、“もの好き”さが嵩じたわけ。
別途、同時に使用可能な「プロジェクタ」を入手したので、このジャンクは、もう用済みだな。
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入力部&表示
「入力端子部」は、本体後部に「RGB」、「S−VIDEO」、「VIDEO」の3種と、それ以外に「RS−232C」なる制御用入力(多分?)がある。(図3)
入力信号無しに電源を入れると、一応ロゴ・マークが出て来る。そして、右下には「信号なし」との表示が。(図4<クリック>)
このジャンク、投射像は、随分明るい!
昼間でも、天井に白い紙を張って映せば、そこそこ見えるのではないかな。
もしかしたら、自宅版プラネタリウムにでも、出来るかもしれない。
・・・ でも、こんな雑な星群ではなぁ。(苦笑)
表示部の分解とDMD素子
状態は分かったので、ハードウェアを分解して、中を見ることにした。
上蓋から順に外して行き、最後に「レンズ・ユニット部」を取り出した。(図6<クリック>)
その後ろに固定されている「DMD搭載基板」を取り出して、じっくり眺めてみた。(図5)
その表面は透明板(多分、ガラス)で蓋をしてあり、埃などは入らない構造になっている。
だから、白い斑点は、やはり「欠陥マイクロ・ミラー群」に違いない!
だけど、なぜこんなに多くの欠陥が発生するのか疑問に思った。
もしかしたら、「大容量ハードディスク」の欠陥発生時と似ていて、一か所で飛んだ欠片が飛び廻って、そこら中に傷を増やしたのかもしれないが。
3色時分割方式
これの「投映像」を写真に撮っていて、毎回違った色が付いていることに気が付いた。
そういえば、光軸中に、扇型のカラー・フィルタを3、4種組み合わせた円盤が入っていたが、その「回転速度」が、デジカメのシャッター速度よりも遅いからなのだろう。
「静止画像」の写真写りは、このようになるけれども、人間の眼にはそれほど違和感はない。
「動画像」も、普通の動画を映してみたが、見た目には何も問題は感じられない。
この欠陥群さえ無ければ、色再現性も良く、綺麗に見えるのではないかと思った。
後始末
「DMD」方式は、私も噂では知っていたのだが、半導体上に機械的に振動するミラー・セル群を作るなんて、機能的には可能だとしても、耐久性や歩留りの方はどうなんだろう?という疑問を持っていた。
WEBで調べたら、「DMD」ってのは耐久性はそこそこあるようだが、作り方が難しそうなデバイス(素子)みたい。
兎に角、「ミラー・セル」の数が莫大だから、製造上の歩留まりが悪くて、あまり個数が取れないのではないかな?
だから、デバイスの価格も相当高いだろうし、(素人の交換修理用に、)“安価なデバイス”を探すのは、まず無理だってことだ。
しかし、惜しいなぁ!・・・ これだけ光源が明るいんだから、ランプがそのまま流用出来ればいいのだが。(図9)
形状が合わないと冷却もままならないだろうし、全光束を上手く収束出来ないかもしれない。
心臓移植みたいなもので、適合しなければ使えないってことかもしれない。
やはり、「ランプ・ハウジング」だけ抜いて、本体はそのまま廃棄処分にしよう!(図10<クリック>)